治療の踊り場で恐怖に打ち勝つ方法


猫の状態を客観的に観察する

病院での治療はインターフェロン、抗生物質、消炎剤といった免疫を抑制する側に働く処方をします。

見た目の傷や出血などを抑えられても、それは車のオイル切れを知らせるランプが点灯しているのに、ヒューズを壊してランプを消して、ホッとしているような行為と言えます。

根本的な治療とは、つまり、健康になることでしょう。動物にかぎらず人間だって同じですよね。

とはいえ、私たち人間は仕事があると体の辛さを取るために解熱剤を飲んだりしてその場をしのいでいます・・・

つまり、場合によっては「上手く利用する」事が必要なわけですよね。

2014年になり、トラちゃんは鼻血がおさまらず、出血の量が増えてきました。

クシャミの度に鼻水混じりではなく、鼻血の鮮血そのものを部屋中に撒き散らすようになってしまいました。

佐野先生に相談したら、「ササスペの量を増やして下さい。」と言われました。

鼻血に効く漢方の銘柄を教えていただいたのでマツキヨで買い足して与えていました。

まだ効くか効かないかもわからない漢方治療を続けながら昼間は鼻血の掃除に追われている女房は少し治療方針について疑問を抱き始めていました。

いっその事、抗生物質とインターフェロンでいいんじゃないの?

ある日、ちょっとやそっとの掃除ではおさまりがつかないくらいに大量の鼻血を出したのです。

鼻をよく見ると、最初に出血していた左側の鼻の穴は完全にふさがってしまい、それどころか肉の塊みたいなものが内側から盛り上がりはみ出してきていたのです。

呼吸がとても辛そうで、右鼻からは絶え間なく鼻血が流れ続けています。

抗生物質を勧めるばかりで何も猫の病状を見ようとしてくれない病院を離れて、検査施設のある大きな病院で検査をしてみることにしました。

そしてレントゲンやMRIで検査の結果が出れば、ここでお金がかかったとしても女房とも納得して治療方針を決められる気がしたのです。

以下が年明けに漢方佐野先生に送ったメールです。

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1月10日

先生

よねまるです、
お世話になります。

新年あけましておめでとうございます。

本年も引き続きよろしくお願いします。

一つご相談ですが、よろしくお願いします。

ステロイド剤の使用についてです。

その後、うちのトラちゃんは、
鼻血がおさまらないので先週から
しっかりした設備のある病院に変更しました。

先週から一週間、ビクタス40という抗生物質と
オンシオールという消炎剤をもらい、
ササスペと併用しながら飲ませてきたのですが
血が止まりませんでした。

今日の夜久しぶりに多めの出血をしたので
病院へ相談に行ってきたのですが、
薬をステロイド剤に変える、とのことでした。

そして明後日麻酔をかけてCTを撮って
鼻の奥に腫瘍状のものが確認できたら
細胞を採取して検査を行う、とのことです。

状態から見ておそらく慢性鼻炎から
鼻の奥が壊れてしまったのだろう、
と担当先生はおっしゃっていましたが、

可能性は少ないが最悪は
リンパ腫の場合もあるとのことでした。

その場合は抗癌剤の治療をする、
とおっしゃっていました。

検査をして戦う相手が明確になるのは
良いことだと思っています。

ですが、同時に、

先生からアドバイスいただいたように、
万が一最悪の場合であったとしても、
私どもとしては抗癌剤による治療は
避けたいと思っています・・

その時はまたアドバイスをお願いします。

ところで今日の相談なのですが、
当座検査結果が出るまでは、
ステロイド剤による治療を行うとのことです。

ステロイド剤は明後日から始まりますが、
用いる場合、佐野先生の観点からの注意点や
アドバイスがございましたらお願いしたいのです。

いつも急なご相談で恐縮でございます。

何しろ抗生物質を飲んも血が止まらず、
本日は特に夕方目覚めたら急にムズムズして
クシャミを始めたら結構な量の鮮血が出ました。

出血騒ぎ自体は15分程度で収まったのですが、
当面この治療方針を受け入れようと思っています。

ありがとうございました。

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以上です。

私はこの時、病院を利用しようと思っていたのですが、正直言うと漢方だけの治療に不安を感じていたのです。

とにかく「血が出続ける」状態をそばで見ているのが辛い・・・

ですが、この心配を払拭するには、「猫が貧血になっていないかを調べれば良い!」と考えました。

貧血状態にさえなっていなければ、見た目血を出していたとしても問題はないのです。

そこで、病院で血液検査をしてもらったところ、「異常なし」との結果でした。これというのもササスペの量を増やしてから更に食欲が増して、モリモリと餌を食べているからだと思いました。

飼い主はペットが鼻血を流しているのを見ると心が揺れます。ですが、見た目に惑わされず、我々に不安に写っている現象の本質を知ることでいたずらに恐怖を抱かなくて済むのです。